碇泰三

12年は本当に本が売れなかった。新刊書籍が6~7割返品されるのも当たり前になってしまっている。

資金繰りで頭を悩ます中小出版社の経営者は多い。後継者もおらず、会社を売りたいと考える経営者も増えているようだ。現状は、まさに崖っぷちの状況。 

今年1~10月期までの書籍・雑誌の推定販売額は前年比3.2%減の1兆4578億円と、大震災の影響で落ち込んだ11年の実績を下回るかたちで推移している。落ち込み幅は書籍よりも雑誌のほうが大きく、書籍は同2.3減、雑誌は同3.9%減ほど。11月期、12月期が11年と同水準で推移したとしても、12年は1兆8000億円には届かず、1兆7000億円台に落ち込むことが予想されている。しかも、3年後には1兆4000億円台にまで減少することまで予測されている。 「本当に本が売れない時代」は、もうそこまで来ている。年度末に売上の帳尻を合わせるような企業のお遊びなど、やっている暇はもうない。